悠斗は叔母の判断に快哉をおくりながら、石の蓋を開く。
いつもどおり、女王の着物をまとった眠り姫の美貌が、悠斗の前に姿を現した。
薄く化粧を施された白磁の陶器のように滑らかな肌。伏せられると夕闇の中でも影を落とすほど長いまつ毛。
程よく高い鼻梁といい、日本人としては掘りの深い顔をしている。近い先祖に西洋のヴァンパイアの血が入っているという。
胸の上で優雅に組まれた指の形に至るまで整っていて、美しい。
人形師が魂を込めて作り上げたような、一種人工的に思えるほど完璧に整った容姿を持つ存在がそこにあった。
今は封印の呪いにより全ての生命活動を停止しているため、余計に人形のように見える。
悠斗(本当に、なんという美しいひとだろう)
眠り姿にさえ魅了されてしまいそうだった。