美奈「うわぁ」 広明「おら、危ねえぞ」 美奈「うわっ……もう、引っ張らないでよぉ」 広明「んなに頭出したら市電に吹っ飛ばされてクビチョンパだぞ」 美奈「だってぇ、もっとよく見たいんだもん」 広明「さっきから街中パカパカ走ってるじゃねえか」 美奈「それわぁ……アレじゃん、横からしか見れないじゃん」 広明「そうかぁ?」 美奈「そうだよ、正面から、それもすっごい近くの正面から見たいもん!」 広明「見たいかねえ。珍しいっちゃ珍しいけどさぁ」 美奈「ものすっごい珍しいよ!だって、あんなおっきな電車がすぐ近く走ってるんだよ! どーんって正面から見たい欲求を一体誰が止められようか」 広明「なんだその言い方」 美奈「お兄ちゃんのまねー」 広明「失礼な。兄はそんな下品な物言いをいたしません!」 美奈「してるじゃん」 広明「それは、君の、幻覚です」 美奈「はう」 広明「まあともかく、線路に向かって頭出すなんていうこっぱずかしい真似はやめなさい、 美奈二等兵」 美奈「はぁい、お兄ちゃん軍曹」 「札幌市電」(札幌)
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